こんにちは。複業するフクシです。
介護施設で相談員として働きながら、ブログで福祉に関する情報発信をしています。
先日、ビターエンドロールの2巻が発売されたので、早速購入しました。
病院を題材にした漫画は数多くありますが、その大半の主人公は医師か看護師。
こちらの漫画は、MSW=医療ソーシャルワーカーが主人公となっております。我々社会福祉士にとっては、人気の職種の一つです。
本の内容
今回は、
- 潰瘍性大腸炎
- 乳がん
- ヤングケアラー
の3つをテーマとしております。
潰瘍性大腸炎編
潰瘍性大腸炎と言えば、安部元首相で話題となりましたね。
潰瘍性大腸炎は国の指定難病となっており、わが国では1人口0万人に対し100人程度の患者がいる計算となっております。
現在の医療では完治は難しく、治療法は内服薬を使用しながら寛解状態を維持する対症療法となっております。
「あなた一人で泣かせたくない」
「誰にも助けを求めないで……一人で頑張って一人で泣くなんて」
「そんな悲しいことをさせたくないんです」
ビターエンドロール2巻 58~59項
特にこのセリフは、社会福祉士として根幹としたいものです。
またこの潰瘍性大腸炎編では、患者の気持ちに寄り添いながら、障害者雇用や就職支援といった、福祉分野を横断的に描いております。
潰瘍性大腸炎の詳細を知りたい方は、こちら(難病情報センター)のページをご覧ください。
乳がん編
がんの中でも比較的若年層で発症することも多い、乳がん。
とてもセンシティブな内容だと思いますが、主人公である男性MSWが支援する、という点も今回のポイントだと思います。
同性の方が支援しやすいかと思いますが、それでも真摯に患者家族に向き合う主人公には社会福祉士としてのあるべき姿を感じました。
「何もしなくていいんですよ……?」
「ありのままなんて受け入れられなくてもいい それより」
「今 あなたが傷ついている事実のほうが大切なんです」
ビターエンドロール2巻 126~127項
病院は、治す場。だけれどそれだけではない。
傷を負っているのは体だけなのか、心もなのか。
ありのままの自分の気持ちを受け入れられるよう手伝いをしているさまは、MSWの仕事の本質を見ている気がしました。
また患者自身だけでなく家族の気持ちにも焦点をあてており、患者を支える家族も含めてクライアントである、と捉え支援をしている場面は、非常に現実に即しているのではないか、と思いました。
ヤングケアラー編
今社会問題にもなっている、ヤングケアラー。
しかし問題となったのは、最近なのか。浮き彫りとなったのが最近なだけで、実は昔から
「家族なんだから支えるのが当たり前」
と認識されていて問題視されていなかったのか。
厚生労働省からも政策として発表されていますね(ヤングケアラーについて (mhlw.go.jp))。
「自分が壊れないために人に助けてもらうこのは大事なことなんだ」
ビターエンドロール2巻 205項
これは、依存症治療で有名な松本俊彦医師の言葉にも通ずるものがあると思います。
僕が尊敬する小児科医の熊谷晋一郎先生は、こんなことを言っています。「自立とは、依存先を増やすことである」と。
世界一やさしい依存症入門 松本俊彦著 191項より
社会問題に触れながらも、関係者、当事者を増やすことが支援につながる。そのネットワークの構築をお手伝いすることが、われわれソーシャルワーカーにできることである。
また、心をとざしてしまっているクライアントに寄り添う姿も、非常に参考になるシーンでした。
まとめ
病院にいるけど、まだまだ認知度が低い医療ソーシャルワーカー。
福祉の場面もしっかりと描かれている本作は、その知名度を上げてくれるきっかけになるのではないのかな、と思っています。
私個人としてはこの主人公の様にクライアントの前で泣くのは「無し」ですが、それもこの主人公らしさが出ていて作品としては良いのでしょう。
また社会福祉士にとっては人気の職種となっています。
この漫画を読むことで、少しでも多くの方が興味を持ってくださることを願っています。
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