老健における多職種連携と、支援相談員に期待したい役割

介護老人保健施設
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こんにちは、複業するフクシです。

介護老人保健施設=老健は、入所する要介護者を多職種で支援し、在宅復帰を目指すための施設です。

医師や看護師といった医療職、理学療法士などのリハビリ専門職、介護福祉士…様々な職種が勤務する中で、支援相談員は要介護者が在宅復帰するためのキープレーヤーであると、私は思っております。

そんな支援相談員が多職種連携において心掛けるべきポイントは、以下の3つであると私は考えています。

  • 他職種をリスペクトしよう
  • 職域は絶対に侵さない
  • 相談員は代弁者

では実際の多職種連携の場面において、支援相談員に期待される役割とは何でしょうか。現職の支援相談員である私自身の経験をもとに、お伝えします。

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老健で働く様々な職種について

老健では国家資格を所持した専門職が多く勤務し、要介護者の療養生活や在宅復帰に向けてのリハビリ等を行い退所後を見据えて生活を支えております。

入所者100名に対しての人員配置基準は以下のようになっています。

  • 常勤の医師…1名
  • 看護職員(看護師、准看護師)…9名
  • 介護職員(介護福祉士等)…25名
  • 理学療法士、作業療法士または言語聴覚士…1名
  • 介護支援専門員…1名
  • 支援相談員…1名
  • 管理栄養士
  • ※薬剤師…入所者300名に対して1名
  • そのほか事務職員、調理師など

医師や看護職員は治療や処置を行うことで利用者の健康管理を行い、介護職員は日常生活の介助を、理学療法士等は機能訓練を行います。

各職種はそれぞれの専門性をもって支援にあたりますが、時としてその支援は

「船頭多くして船山に上る」

状態になりかねません。

そこで考えたいのが、支援相談員による方向性の統一です。

方向性を決めるのは利用者とそのご家族ですが、その意向を施設内で共有することが、多職種連携における支援相談員の役割であると思っております。

多職種連携で心がけたいこと

支援相談員が多職種連携において心掛けたいことは、以下の3点です。

  • 他職種をリスペクトしよう
  • 職域は絶対に侵さない
  • 相談員は代弁者

順番に説明していきます。

他職種をリスペクトしよう

職種が異なれば、求められる役割も異なります。各職種が互いを尊敬しあい支援にあたるようにしましょう。

  • 看護師が上
  • 介護職員は下
  • 事務職員は何もしない

ということなどないのです。

もちろん役職などの上下はありますし、医療的ケアにおいては医師および看護師が主体となります。

その点も踏まえて、チーム全体で生活を支えるという視点を持ちましょう。

支援相談員は、各職種が「チームケア」のイメージを持てるよう促しができると、良い支援へと繋がります。

職域は絶対に侵さない

この場合の職域とは、その【職種が受け持つ仕事の領域】をさします。

各職種は、プライドを持って利用者を支援します。

ケアする様子を見学したり、質問したりすることは良いでしょう。時には手伝うことや、実際に介護することも必要かもしれません。

しかしその業務を代わりに行うことがあったり、必要以上の意見を述べることはあってはなりません。

病状を含めた全身状態のことをご家族に伝える場合には医師等医療職から行うべきですし、運動機能に関することは理学療法士等の意見が重要です。

要するに、餅は餅屋、ということで越権行為は厳禁です。

先述の、他職種をリスペクトするということと重なる部分もありますね。

相談員は代弁者

当然のことではありますが、相談員は、利用者やそのご家族の代弁者であるということを忘れずに業務にあたりましょう。

心掛けたいのは、

「代弁した利用者やそのご家族の意向を他職種と共有する」

ということです。

ただ代弁するだけでなく、利用者とそのご家族が望む方向へ皆で進めるよう、船頭多くして船山に上ることのないよう、職種間の調整を図りましょう。

多職種で連携を図るための礎

支援相談員は、利用者に対し直接的に介護等をする職種ではありません。

お局介護士
お局介護士

座って話しているだけで何しているんだ!

と他職種から言われたことがある方もいるでしょう。

役割が違うだけではあるのですが、それを理解できない職員がいることも事実です。

多職種連携を図るうえで大切なのは、他職種から信頼を得ることです。

他職種との会話の頻度を増やそう

他職種からの信頼を得るには、まずは会話の機会を増やすことが重要です。

自身のプライベートな日常会話をしろ、ということではありません。利用者のことを話すのです。

些細なことでも構いません。カンファレンスほど構える必要もありません。とにかく利用者について、会話をする機会を設けるようにしましょう。

その際に大切にしたいのは、

「まずは他職種の意見を聴く」

ということです。自分の意見ばかりをぶつけていては、信頼関係は生まれません。ラポール形成と一緒ですよね。

全職員を当事者に

ご家族に対し

  • 日常生活品を持ってきてもらうために
  • 状態に変化があった時に伝えるために
  • リハビリでの様子を伝えるために

支援相談員が伝書鳩の様になって連絡をしていることは、ありませんか?

ご家族への連絡をすべて支援相談員が行っていては、他職種はいつまでも他人です。

積極的にご家族と話していただく機会を設けるようにし、利用者の今後を一緒に考えられるようにしましょう。

連携から、協働へ

ここまで「連携」という言葉を使ってきましたが、果たして連携でとどまっていても良いのでしょうか。

似たような言葉で、「協働」という言葉があります。

ではまず、連携とはどういう意味でしょうか。

互いに連絡をとり協力して物事を行うこと。

連携(れんけい)の意味 – goo国語辞書

一方協働の意味とは。

同じ目的のために、対等の立場で協力して共に働くこと。

協働(きょうどう)の意味 – goo国語辞書

このように並べてみますと、協働の方がより強く、目的に向けて支援をして行けるイメージがあります。なおかつお互いが主体性をもって動いていけるのではないでしょうか。

よって老健の目指すべきところは、多職種が協働して利用者の在宅復帰に向けた生活を支える形でしょう。

まとめ

介護老人保健施設=老健において利用者の在宅復帰を支援するには、多職種が連携することが必須です。

多職種連携において必要なのは、

  • 各職種をリスペクトすること
  • 他職種の職域を侵さないこと
  • 相談員は利用者ご家族の代弁者であり続けること

が重要となります。

多職種連携を図るうえで、支援相談員は率先して利用者ご家族の意向を他職種と共有する必要があります。

そのために支援相談員は、他職種から信頼を得ている必要があります。

そして連携を越えて多職種が協働できるようになると、より良い支援を提供できるようになるでしょう。

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