老健は、3か月で退所しなければならない!?ずっと入所する方法とは?

介護施設
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こんにちは。複業するフクシです。

私は介護老人保健施設=老健で相談員をしているのですが、入所相談でご家族と話をしていると、よく以下の話題になります。

フクシ相談員
フクシ相談員

3か月後に自宅での介護は可能ですか?

キーパーソン
キーパーソン

え?3か月後にまた家で介護ですか。。。

せっかく施設に入所できる目途が立ったのに、3か月後にまた家でみるの?と思う方も多いでしょう。

そこで今回は、老健に長期入所できる場合があればどんな状況か、を記事にしました。

こたえからお伝えすると、

  • 要介護4または5である
  • 実際に2日間だけ自宅で介護する
  • ほぼ特養化している施設に入所する

となります。以下、具体的に説明していきます。

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老健は、在宅復帰・在宅療養を支援する施設

介護老人保健施設=老健は、入所期間中にリハビリテーションの提供を行うことで

要介護者が再び自宅で生活すること

を目標に生活を送ってもらう施設です。

いわゆる「中間施設」とも呼ばれており、上図の様に病院や自宅、在宅系施設など様々な場所から要介護者の入所受け入れを行っております。

その入所期間は3か月と言われており、3か月が経過したら再び自宅で生活を送ってもらう、という老健が多く存在します。

しかし、

3か月で退所しなければならない

という法律的な縛りはありません。

実は、入所期間を設定するのは老健側の都合なので、長期間入所することも可能となっています。

なぜ3か月なのか!?

それではなぜ、老健の入所期間が3か月と言われているのか、をまずは説明します。

老健は、リハビリ施設である。

老健は、リハビリテーションを提供しながら生活を送っていただくための施設です。

リハビリテーションの目的は全人間的復権です。

もともとはラテン語で、re(再び)+habilis(適する)からきています。中世及び近世ヨーロッパでは、キリスト教の「破門の取り消し」や「名誉の回復」として用いられており、ジャンヌダルクのリハビリテーション(名誉の回復)やガリレオ・ガリレイのリハビリテーション(名誉の回復)として用いられていました。
わが国では、社会の偏見や政策の誤り等のために、奪われ・傷つけられた尊厳・権利・人権が本来あるべき姿に回復することとしてとらえ、リハビリテーションを全人間的復権と表しました。

「リハビリテーション」の目的・分類 | リハビリテーションとは | 日本障害者リハビリテーション協会 (jsrpd.jp)

老健の場合は入所者のほとんどが高齢者であるため、加齢によって失われた身体機能を回復するために、リハビリテーションを行っています。

じゃあいっぱいリハビリをして、歩けるようになるんですね

と期待してくださるご家族もいらっしゃいますが、なかなかそう上手くはいきません。

なぜなら、

  • 加齢によって低下した身体機能は、回復しづらい
  • そもそも老健ではリハビリ回数が多くない

ためです。

では、何のためのリハビリ施設なのでしょうか。

老健で行われるリハビリの実際

老健で行われるリハビリ回数は、その施設が取得している加算によって異なります。

  • 入所から3か月間は最大週7回の個別リハビリ
  • 4か月目以降は週2回まで減ってしまう
  • 入所当初から、週2回の施設もある

詳細は以下の記事をご覧いただきたいですが、

自宅の環境に合わせて、現在の身体能力ならどう生活できるか

を考え、自宅に戻った後に生活しやすくなるためのリハビリを老健では行います。

最大週7回のリハビリは

  • 短期集中リハビリテーション実施加算
  • 認知症短期集中リハビリテーション実施加算

の2つを算定している施設でのみ行えます。

かつこの加算を算定できるのは入所から3か月間のみなので、3か月で自宅に帰ることが本人の運動能力としても施設の運営としても、ちょうど良いのです。

ちなみにこの短期集中リハビリテーション実施加算は、1回240単位の費用負担が生じます。

とてもざっくりとした計算ですが、週7回リハビリを行えば、月の費用負担は約7,000円増し、施設の収入は約70,000円増加します。

身体機能の向上を図りたかったら、地域包括ケア病棟への入院を

少し今回の趣旨とは異なりますが、リハビリをして身体機能を向上させることを考えているときは、『地域包括ケア病棟』という病棟を持つ病院への入院をご検討ください。

地域包括ケア病棟とは、地域包括ケアを実現させるために2014年から設置された病棟です。

実施されるリハビリの回数は週に12~14単位が平均とされており、老健の約2倍です(病院によってはもう少し多いかもしれません)。

  • 急性期病院を退院した人
  • 急性期病院へ入院するほどではないが病院での治療が必要な人
  • 介護者のレスパイトが必要な人

が一時的に入院し、在宅復帰を目指すための病棟となっています。

入院期限が60日と設定されており、61日以上の入院はできません。

地域包括ケア病棟の詳細については、一般社団法人地域包括ケア病棟協会のHP(リンク:地域包括ケア病棟協会|TOP (chiiki-hp.jp)をご覧ください。

老健にずっと入所するには!?

キーパーソン
キーパーソン

やっと介護が終わったと思ったのに

そんなご家族の気持ちを必ず叶えられる!かはわかりませんが…

以下の状況なら可能性は高いです。

  • 入所する方の介護度が4か5の場合
  • 数か月に一度、家で介護する場合
  • 特養のような老健へ入所する場合

以下、詳しく説明していきます。

要介護4か5なら、ずっと入所できる?

老健は、老健でリハビリをして自宅で再び介護を受けるようになる人が多ければ多いほど、老健が受け取れる報酬が多くなるシステムです。

簡単に言うと

【在宅復帰をする利用者が多いほど、施設の収入が多くなる】

のです。

一方で要介護度が重い方も一定数入所させなければならない条件があり、それが

【要介護度4と5の方】

にあたるのです。

「特養と一緒じゃないか」という声も聞こえてきそうですが、特養と異なり老健は

  • 常勤医がいる
  • リハビリができる
  • 特養よりも待機者数が少ない

というメリットがございます。

数日間だけ、自宅で頑張れば…

老健における在宅復帰の条件は、

  • 在宅において介護サービスを受けること
  • すぐに他の介護保険施設へ入所しないこと
  • すぐにショートステイを利用しないこと
  • 在宅で介護を受ける状況が1か月以上継続すること

をさします。

また老健は、空きベッドを利用してショートステイの事業を行っている施設が多いです。

居宅ケアマネジャーの協力は必須ですが、要するに

元々利用していた居室をショートステイとして利用することが可能

なのです。

何日間利用できるかは要介護度により異なりますが、老健の退所日と再入所日を月の半ば頃にすればほとんど自宅で介護する必要が無いかもしれません。

数日間自宅で介護する場合の具体的な過ごし方

どうしても3か月後に在宅復帰をしなければならない場合、以下の内容を施設に伝えてはいかがでしょうか。

「二日間は自宅で介護しますので、その後はまたショートステイを使わせてください」

退所日と退所翌日は自宅で過ごし、翌々日から同じ老健の同じベッドを使うプランです。

  • 退所時間は夕方ギリギリにしてもらう
  • 退所翌日は、老健が運営しているデイケアセンターを利用する
  • 退所翌々日のショートステイは、午前中に迎えに来てもらう

簡単に言うと、二日間自宅にお泊りするイメージですね。

なお居宅サービスを利用する場合は限度額がありますので、月の半ば頃を退所日とし、翌月の中ごろを再入所日とすると良いでしょう。

特養のような老健なら、ずっと入所できる?

老健の中には、積極的に在宅復帰の支援を行っていない施設もあります。

理由はその施設によって異なりますが、

  • リハビリスタッフの確保が難しい
  • 施設の歴史が長く、在宅復帰の支援をしたことがほとんどない
  • 施設の所在する地域から、長期で入所することを求められている

などがあるでしょう。

在宅復帰の支援をしている施設よりは待期期間が長くなる可能性もありますが、うまく探し出せれば

  • 要介護度が軽くても
  • 数日間家で介護する必要が無くても

長期間入所できることができるでしょう。

私が勤務する施設では、在宅復帰に向けての支援も行っておりますが、長期間入所されている方もいます。

入所相談時には、

「在宅復帰の支援をする施設ですが、本人やご家族の状況も鑑みたうえで、長期の入所をすることも可能です」

といった話をしています。

まとめ ~老健へずっと入所するには~

改めて、老健に長期入所できる方法をおさらいします。

  • 要介護4または5の場合
  • 数日間だけ自宅で介護する場合
  • 特養のような老健へ入所する場合

実際にこの方法で長期入所ができるかどうかは、施設によると思いますので必ずご確認ください。

介護サービスは、うまく活用するものです。困ったときはどんな内容でも構いません。施設の相談員や担当のケアマネジャーに、お気軽にご相談下さい。

ケアマネジャーさんから相談員へのご相談も、お待ちしています。

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