
皆さんこんにちは。複業するフクシです。
介護老人保健施設、通称老健で支援相談員という仕事をしながら、ブログで福祉に関する情報発信をしています。
入所型の介護施設には、いくつか種類があること、知っていますか?大切なご家族を施設へ入所させなければならなくなった時、あるいは介護施設への就職を考えた時、それぞれの違いを理解できていないと後悔する可能性がございます。
「とくよう」って聞いたことあるんだけどな~、とか、「ろうけん」って3か月しかいられないの?とか、「ゆうりょうろうじんほーむ」って入居金が100万円するんでしょ?とか。イメージもあるかと思いますので、今回のブログでは入門編と題しできる限り簡単にお伝えします。
介護保険施設について
入所型の介護施設には、介護保険を使って入所する施設と介護保険を使わずに入所しヘルパーやデイサービスを利用する施設があります。それぞれに違いはございますが、今回は介護保険を使って入所することができる「介護保険施設」について紹介します。性質上比較的安価で生活を送ることができますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
介護老人保健施設、通称老健(ろうけん)とは
一番最初にお伝えするのは、私が働いている介護老人保健施設についてです。略して「老健(ろうけん)」なんで呼ばれていますね。
老健は、要介護度が1~5の方が一時的に入所しリハビリをしながら生活を送ることができる施設です。いわゆる中間施設なんて呼ばれており、病院は退院できるけどすぐに自宅で生活するには不安な方などが入所されています。常勤の医師がいることと、看護師は常駐していることも特徴ですね。
入所から3か月間は集中してリハビリテーションを行うことができますので、その間に住居環境の調整やご家族のレスパイトを行い、運動機能が向上または維持した状態で自宅での生活を再開していただく、という目的を持っています。
入所期限は3か月、と設定している施設もありますが、この3か月という数字は法律で決められているものではありませんので4か月以上入所することも可能です。しかし4か月目以降はリハビリテーションの回数が減ってしまうため、自宅で再び生活することを考えると3か月以内に在宅復帰するとより充実した生活を送れるでしょう。
看取り機能を有しているため、施設でお亡くなりになる方もいます。
運動機能に関しては、疾患としては慢性期にいる方が多いため、改善するということは少し難しいかもしれません。
ちなみに老健での相談員としての働き方はこちらで記事にしています。良ければご覧ください。
特別養護老人ホーム、通称特養(とくよう)とは
100人以上も待機があって、いつ入れるかわからない~
特別養護老人ホーム、通称特養(とくよう)ってそんなイメージですよね。
そもそも特養とは、要介護3以上の方が入所できる施設です。人員配置上は常勤の医師はおらず看護師も常駐しておりませんので、医療的な処置は不要で介護が必要な方しか入所ができません。
要介護3以上が入所可能ではありますが、現実的には要介護4以上の方が入所しやすいです。また待機100人という数字も、先着順ではありませんし複数施設へ申し込んでいる方も多いので、実際の数字はそんなに多くはありません。
特養では入所判定会議が定期的に開催されており、次入所者が退所されたらこの方を入所案内する、というように優先順位をつけています。優先順位のつけ方については各施設で異なりますが、公表されていますので入所を考えたい特養がある場合は、参考にしても良いかもしれません。
終の棲家としての機能を有しており、入所したら最期まで特養で過ごす方が多いです。ただし医療職は少ないため、新たに治療が必要な病気を発症したり褥瘡や喀痰吸引といった医療的な処置が必要になったりした時には、特養は退所し病院へ入院する必要性が生じます。
ユニット型と従来型という区別があり、ざっくりと説明するとユニット型は個室で新しい、従来型は多床室(4人部屋)が基本で古い施設が多くなっています。利用料もユニット型の方が居室代が多くかかるようになっています。
介護医療院とは
続いて、介護医療院についてです。
まだまだ介護医療院という名前を聞きなれない方も多いのではないでしょうか。
介護医療院とは、H30年4月の介護保険法等改正により新設された施設です。医療と介護、双方のニーズを併せ持った高齢者が長期的に利用することを目的としております。医療を提供するため、医療法の医療提供施設に該当します。
慢性期病院の中にある、医療保険ではなく介護保険で入院する病棟と思っていただければと思います。なお従来あった介護療養病棟はR6年度末には廃止されることが決定していますので、その代わりとなる施設、と思っていただければと思います。
特養や老健より医療的な処置が必要ではあるが、病院ではなくて施設での生活を望む方に合った施設、ということでしょう。
自宅から直接入所する、といったことは聞いたことがありません。医療療養病棟と介護医療院を併せ持つ病院が急性期病院などの他機関から転院の依頼を受けた時、医療区分ⅡかⅢに該当する方は医療療養病棟で、医療区分Ⅰに該当する方は介護医療院で入院を受け入れる、というケースがほとんどかと思います。
利用料について
介護保険施設は、その名の通り介護保険を使って入所できる施設です。
費用も比較的安価で、「介護保険料+食費+居住費+日常生活品費」で地域差もありますがだいたい10万円から13万円程度、で入居一時金といった初期費用もかかりません。
なお住民税が非課税であって預貯金もそんなに多くない世帯の方は、減額制度を利用することができます。申請主義ではありますが食費や居住費が収入額によって減額されますので、心当たりのある方はぜひ市区町村の窓口まで足を運んでみてください。
利用するにはどうしたら良い?
介護保険施設への入所を希望する場合は、まずは必ず施設へ問い合わせの連絡を入れてください。入所相談のアポを取ることとなります。
「どこに施設があるかわかない」という方は、担当のケアマネジャーさんに相談しても良いでしょう。いくつか施設を提案してくれたり、中にはケアマネジャーさんが施設の相談員に連絡を取ってくれたりする場合もございます。
そしてだいたいの施設は、以下のような流れで入所の日にちが決定していきます。
気を付けて頂きたいのは、空きがある施設に申し込んでもすぐに入所できるわけではない、ということです。施設によりますが、診断書を必要しているところがほとんどです。診断書の記入には日数がかかりますので、それを見越して連絡をしてみてください。
まとめ
今回は「介護施設の種類Vol.1」と題し、介護保険施設についての紹介をしました。
介護保険施設は全部で以下の3種類あります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
料金も比較的安価で生活を送ることができ、収入と預貯金が少ない方は減額制度が利用できるようになっております。
それぞれに特徴がございますので、利用を希望している要介護者の状況に応じて、施設を選択してもらえたらと思います。
介護保険施設以外の高齢者が入所できる施設については、また後日お伝えします。
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