【書評】伝えたつもりでは伝わらない。「「その話、聞いてないよ」と言われない伝え方」

書評
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皆さんこんにちは。複業するフクシです。

私は介護施設で相談員をしており、日々コミュニケーションの重要性を実感しています。

にもかかわらず「え?そんなこと言ってたっけ?」「そんな話、聞いてないよ」などと言われ、伝えたはずの内容が伝わっていないことがよくあります。

「どうしたものか」と考えていたところ、今回の本に出会いました。

  • 書名:「その話、聞いてないよ」と言われない伝え方
  • 著者:金子 敦子
  • 出版:日本実業出版社(2017/7/1)
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著者について

今回紹介する書籍の著者:金子敦子氏は現明治大学経営学部の准教授で、MBAを修了している元証券アナリストです。

国内外の機関投資家へプレゼンテーションを行う中でコミュニケーションが成果に結びつく場面を何度も目の当たりにし、とてもワクワクしたそうです。

私は「コミュニケーション能力」は、学習によって高められる部分が大きいと考えています。本書では、そうした学ぶことで身につくスキルを紹介していきます。

引用:「その話、聞いてないよ」と言われない伝え方 まえがき

まえがきからこんなことが書かれていたら、なんだか読んでるこちらもワクワクしませんか?

この本を読んだきっかけ

この本のタイトルは、まさに私が悩んでいた内容でした。

コミュニケーションに関する書籍はいくつも読んできましたが、それでも「伝えたはずなのに…」と思うことは多く。また私自身の子どもに対しても、「伝わらなきゃ。言うだけではダメなんだよ」と言う機会は増え、なおのこと伝わるように伝えるということを意識しなければならない、と思ったのです。

本の内容

本書は、以下の5章から成り立っています。

  • 第1章 一生懸命に伝えたのに、なぜ相手に響かないのか?
  • 第2章 「誰に言うか」「誰が言うか」を考える
  • 第3章 伝える内容は「聞き手」に合わせる
  • 第4章 「伝える手段」を選ぶ
  • 第5章 「言葉」を選ぶ

伝えるを伝わるに変えるには、これだけのことを考える必要があったのですね。

ただ言うだけでは伝わらないということは理解していたけど、その原因を細分化することがこれほど重要だったのか、と思い知らされました。

以下、私なり大切だと思った箇所を要約しました。

第1章 一生懸命に伝えたのに、なぜ相手に響かないのか?

コミュニケーションは関わる人がともに作り上げるもので、一方通行であってはならない。ただし話し始めは、話す側と聞く側とでは温度差があることを認識する必要がある。

一方的なコミュニケーションとならないため、

  • 話す側と聞く側が一緒にタスクを遂行するためのWe=私たちとなること
  • そのための道具として、言葉を積極的に使うこと

を意識する必要がある。

そもそもコミュニケーションには①タスクの遂行、と②対人関係の構築、の2つの目的がある。この2つは密接に関係しており、一方だけではコミュニケーションの成果は出ない。

タスクを遂行するには「固有名詞」や「数字」で具体的なイメージを共有し、どのようなものを完成させるかのイメージを具体化し、期日と役割分担を明確にする必要がある。大切なのはタスクを遂行するという目的なため、もめることは問題ないが目的を見失ってはいけない。

Weになるには同じ船に乗って同じ方向を向き、一緒に目的地に向かって舟をこいでいる様子をイメージすると良いであろう。

第2章 「誰に言うか」「誰が言うか」を考える

コミュニケーションにおいては、誰が当事者かを考え、巻き込む人と巻き込まない人を見極めるべきである。担当者に伝わらないことがあってはならないし、部外者に情報が過度に伝わることは負担がかかってしまう。

発言する意味は大きく、的外れを恐れる必要はない。意見は他人に新しい発想を与える可能性や、より深い理解を促す可能性がある。よって他人に発言を促すことや一人でしゃべりすぎないことが重要である。

ただし偉い人の発言は決定になりかねないため、後回しにした方がよい。よって、「誰が言うか」は重要である。同じ内容の発表をするとしても、会社の社長が発言することと一社員が発言するとでは意味合いが変わってしまう。

第3章 伝える内容は「聞き手」に合わせる

コミュニケーションにおいて「言った、言わない」という行き違いは、時々起こるもの。伝達ミスを防ぐために①簡潔に伝える②確認するといった基本的なコミュニケーションの手順を踏む必要はあるが、それでもミスコミュニケーションが起こる可能性がある。タスクの難易度が高く相手のキャパシティを超えてしまっていたり、相手が興味をもっていなかったりすると、思うような成果には達しないだろう。

よってミスコミュニケーションを防ぐためには、

  • 「あなたにしかできない」と丁寧に頼む
  • 「お忙しい所申し訳が無いのですが…」という相手を慮る気持ちを伝える
  • 相手の営業時間を考慮し、余裕がありそうな時間に依頼する
  • 胸元に投げるキャッチボールのように、捕りやすいボールを投げる
  • 依頼を受ける相手が安心して取り組めるよう努力する
  • 相手の腹に落ちているか確認する
  • できる範囲で参加してもらう

ことを心掛ける必要がある。

とは言えコミュニケーションに応じるかの決定権は相手にあることを、忘れてはならない。命令や指示のみでは動かないことはあり、断る余地を残す必要がある。応じてくれるだろうとこちらが求めすぎると逃げ出す可能性もあるため、他者に頼むことも考慮しておく。

第4章 「伝える手段」を選ぶ

コミュニケーションをとる相手が「口頭」と「文書」どちらの方が理解しやすいかがわかれば、コミュニケーションは円滑になる。「口頭」の方が理解しやすい「聞き手型」と、「文書」の方が理解しやすい「読み手型」。長い時間かけて話しても伝わらない相手には、文書にして伝えてみるとお互いのストレスが減るであろう。

「口頭」によるコミュニケーションには即時性や双方向性に強く、「文書」によるコミュニケーションは熟考と確認に適している。よってどちらかだけに頼るのではなく、両方をバランスよく使うことが大切である。

コミュニケーションにおいては、言語だけに頼らず相手との距離や表情、そして身振り手振りといった非言語もうまく使うと良い。もちろん声の高さや速さ、間の置き方も重要である。

そして一番伝えたい内容が伝わるのは、対面でのコミュニケーションである。伝える手段が増えること、伝えてすぐに伝わったかあるいは相手の考えがわかることは当然として、人間関係を深める方法としても対面でのコミュニケーションは有効である。

第5章 「言葉」を選ぶ

何かを伝えるときは、何か行動をしてほしい時である。よってだらだらと話すことや言葉を足しすぎることは、決して効果的ではない。結論を先に伝えたうえで、その根拠を2つ3つ程度伝えると、相手に伝わりやすいだろう。

また、言いにくい内容を伝えるときは「事実」と「意見」を分けて伝えると良い。そうすることで課題の分析ができ、問題の解決に進みやすい。

言葉は、伝えるタイミングも選ぶべきである。謝罪や断るときは早く伝えた方がよいが、相手が聴くことのできるタイミングでない時や寝かせた方がより良い考えとなる意見もあるため、「今」言うべきか、「後で」伝えるべきかは考える必要がある。

クッション言葉を使うこと、質問するときはオープンとクローズをうまく使い分けることも必要である。

コミュニケーションは大事だが、成果が上がらなかったときの原因が全てコミュニケーションとは限らないことも、忘れてはならない。

まとめ

冒頭でも伝えましたが、仕事をする上でコミュニケーションは重要です。

コミュニケーションにおいて非言語を活用することは有効である、との内容が書かれた書籍は今まで何冊も読んできましたが、今回の書籍のように相手を分析して伝えることの重要性が書かれている書籍には初めて出会いました。

特に目から鱗が落ちたのは、相手である受け取り手が「聞き手型」か「読み手型」かで伝わりやすい手段が変わる、という点です。

皆さんも「うまく伝わらない」と感じた時には、伝える相手の分析をして伝えてみてはどうでしょうか。

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